『身長』と『サーフボードの選び方』の関係について書きます。
サーフボードは浮力を基準として選ぶのが一般的ですが、身長を参考にしてサーフボードを選ぶこともできます。
身長は、『スタンス幅』に直接関わりがあります。
スタンス幅ってなに?
『スタンス』とは足と足の間の幅のことです。サーフィンは、『スタンス』が固定されていません。そのため、サーフボードの種類や状況に応じて、『スタンス』を変更する必要があります。
厳密に言えば、『サーファーそれぞれのスタンス幅』に適したサーフボードがあるという事です。
【関連記事】代表的なサーファー6人から学ぶ【格好いいサーフィンのスタイルを身につける秘訣】
身長を基準にしてサーフボードを選ぶ方法
体重がまったく同じで身長が50cm違う、二人のサーファーがいたとします。
それぞれの体重は、65kgです。二人ともパフォーマンス型のショートボードを探していました。探していたサーフボードの適正浮力が27リットルだったと仮定しましょう。
体重から算出された適正浮力をもとに、二人が選んだのは6フィートのパフォーマンスショートボードでした。
選んだサーフボードは、全く同じものです。
どうでしょうか。この二人にサーフボードの感想を聞いた時、全く同じ返事が帰ってくると思いますか?
その答えは『NO』です。
二人が感じるサーフボードのパフォーマンスは、まったく違うものになります。その理由は、身長が違うからです。
下のイラストをご覧ください。
身長が200cmのサーファーと150cmのサーファーでは、足の長さに大きな違いがあります。
適正浮力で選んだ同じサーフボードに乗っても、このようにスタンスに違いが出てきます。
スタンス幅が違うと、なにが変わるの?
身長が高いサーファーは『肩幅のスタンス』でも、前足をサーフボードのノーズに近い方に置くことができます。
身長が低いサーファーは、同じ位置に前足を置くためには、大きくスタンスを広げる必要があります。
この二人のサーファーを見比べた時、前足に体重がかけやすいのは身長が高いサーファーになります。
そのため、身長が高いサーファーは『このサーフボードは速い』という感想を持つはずです。
身長が低い場合はどうなるの?
身長が低いサーファーがスピードをつけるためには、後ろ足をやや前に出して体重を前方に移動するか、アップスンを行うなどの工夫が必要になります。
仮に身長が低いサーファーが肩幅で立ったとしましょう。後ろ足をフィンボックスの上に置いたとしたら、前足を前方に置くことができません。こうなると、スピードを出す動きが必要です。
その逆に、前足をスピードを出すための位置に置くと、後ろ足がフィンボックスから離れてしまいます。
後ろ足の位置が変わるとどうなるの?
そうなると、今度はターンが難しくなります。ターン直前に、後ろ足をステップバックさせる技術が必要になります。
身長が低く体重があるサーファーがパフォーマンスボードに乗ると、自然と大きなスタンスになるのはそのためです。
自分の身長に適したサーフボードとは?
それでは、自分の身長(スタンス幅)に適したサーフボードとはなんでしょうか。
サーフィン中のスタンスを決める上で、2つ重要な要素があります。
1つ目は、『サーフボードの重心』です。
2つ目は、『サーフボードの種類』です。
ショートボードにおけるスタンスの基本は、サーフボードの重心をまたぐことです。まずは、サーフボードの重心を把握してください。
重心を見つたら、自分のスタンス幅でサーフボードの横に立って見ましょう。
この時に、体の芯が重心の上に来るようにしてください。
それでどうするの?
そのときに、前足と後ろ足がサーフボードのどこに位置するか確認してみましょう。
前足が重心より前にある状態で、後ろ足を無理なくフィンボックスの位置に持ってこれるのであれば、あなたに適したショートボードだと言えます。
それが、あなたの身長(スタンス幅)に適したサーフボードです。
浮力が足りない場合は、横幅やレールがやや厚めのものを選ぶことで問題を解決できます。
いくつか動画を見ていただきたいと思います。
Craig Anderson(172cm/60kg)が、5’4(162cm)のサーフボード『Hypto Crypto』に乗っている映像です。
動画内のCraig Anderson の『スタンス』は狭いです。
どうしてスタンスが狭いの?
その理由は、身長に対して非常に短いサーフボードに乗っているからです。『Hypto Crypto』は横幅が広くレールが厚いデザインの為、短いサーフボードを選ぶことが可能です。
身長より短いサーフボードを選択している為、後ろ足はフィンボックスに近く、前足は重心よりも前方にあります。
見た目も格好いいスタンス幅・・・
このスタンス幅であれば、スピードを失わずにサーフボードのコントロールが自由にできます。見た目も、非常にスタイリッシュです。
【関連記事】ジェアド・メル(Jared Mell)のサーフィンが格段に格好いい理由
ロングボードやミッドレングスの場合は?
ロングボードやミドルレングスのサーフィンは、通常のライディングの際は極端なスタンス幅は必要ありません。ターンをする状況によっては、重心を移動して、後ろ足をステップバックする必要があります。
見た目はどう?
スタンス幅を大きくとる必要がない為、ロングボードやミッドレングスを操るサーファーは優雅で美しいです。
まとめ
パフォーマンスボードは、『浮力がなくてもサーフィンができる人』のために作られたものです。
浮力が必要な初中級者が、サイズが大きめのパフォーマンスボードを選ぶと、ボード本来のパフォーマンスを発揮するのが難しくなります。
なぜなら、『サーフボードが求める理想のスタンス(足の置き場所)』でサーフィンができないからです。
サーフィンの上達を望むのであれば、『正しいサーフボード』を選ぶ必要があります。
いろいろなサーフボードに乗ってみて、しっくりきた板のサイズをメモしておきましょう。
いつの日か、あなたの『マジックボード』に出会えるはずです。