正しいパドリングができれば、パドルアウトは誰にでもできます。
あなたは周りにいる人から、『君はパドルに必要な筋力がないからゲッティングアウト出来ないんだ』と言われたことがあるかもしれません。
パドル力がなくてもゲットアウトできる?
確かにパドル筋は重要ですが、全てではありません。 もしもあなたが、プールでビート板を使って泳げるのであれば、ゲットアウトは必ず出来ると断言できます。
パドリングを難しく考えるのではなく、シンプルに考えてみましょう。
もしも波がなければ、あなたは簡単に沖に出ることができるはずです。 プールでビート板を使うように、前に進んでいけばいいだけです。
そこに波がやってきます。あともう少しでゴールだったのに、5メートル押し戻されました。
その後、どうすればいいの?
答えは簡単です。 次の波が来るまでに、6メートル進めばいいだけです。
それを続ければ、あなたはゲッティングアウト出来ます。
パドルアウトができないのは大きくて浮力があるサーフボードのせい?
ロングボードでもミッドレングスでも、パドルアウトは可能です。
確かに浮力のないサーフボードであれば、ドルフィンスルー(水中にサーフボードごと潜って波を越えていく方法)が容易にできます。
サーフボードが長い場合は?
次の波が来るまでに多くの距離を進めるのは、ロングボードやミッドレングスです。 波をやり過ごしたら、できる限りすぐに力強くパドリングを再開してください。
大事なのは、次の波が来るまでにできる限り沖に出ることです。
正しいパドリングの方法
ゲットアウトの前に、パドリングついて理解しましょう。
どうしてゲットアウトの前にパドリングを学ぶの?
当然のことですが、『正しいパドリング』ができなければゲッティングアウトはできません。
初心者がパドルアウトができないのは、『間違ったパドリング』をしている場合がほとんどです。基本的なことを理解して、パドルアウトに挑戦しましょう。
正しい姿勢でパドリングする
間違った姿勢でパドリングを行っても、前に進んでいきません。特に重要なのは、『重心』を理想的な位置に保つ事です(下イラスト参照)。
パドリングの最中に前のめりになってしまうと、効率よくパドルアウトができません。
重心が、後ろにありすぎる場合も同様です。
大事なのは、サーフボードの滑走面が上のイラストのように、水平を保っていることです。
腕を水中に入れすぎない
最初に紹介した動画内の、ケリースレーターの腕に注目してください。
水中に入っているのは、肘よりやや上の部分までです。肩に近い位置まで水中に入れると、体の軸がぶれていきます。
ブレるとどうなるの?
『ブレ』は反作用の力を発生させてしまい、効率よくパドリングができません。 上体を起こし肘を高く上げて、腕の半分を水に入れるイメージでパドリングを行いましょう。
パドリング中の手はサーフボードの下を通す
パドルを行うときは、適度に上体を起こしてください。
どうして上体を起こす必要があるの?
そうしなければ、正しい形で腕を使うことができません。上体が起きていない状態でパドリングを行うと、腕全体が水中に入ることになります。
上体が起きていない初心者は、下のイラストのようにパドルをしているのがほとんどです。 パドリングをしている時、手の軌道を確認してください。
理想とされる手の軌道は、サーフボードのレール部分の下を通すことです。サーフボードから離れたところに手を入れるのではなく、体の軸に近い位置でパドリングを行なってください。
頭をブラさない
パドリング中は、頭をブラさないようにしましょう。
頭がブレてしまうと横方向に対しても力が発生し、パドリングによって得た推進力が分散してしまいます。
分散したら前に進んでいかない・・・
パドリングで得た力は、前に進むために使うものです。 頭がブレると、足も連動して左右に動きます。パドリングで得た力を、効率よく『推進力』に変えることが重要です。
パドリング中に体がぶれていないか、知り合いに確認してもらいましょう。
ゲットアウト(パドルアウト)のコツ
ここからは、パドルアウトのコツについて解説していきます。コツさえつかめば、パドルアウトは誰にでもできます。
タイミングを見計らう
ゲッティングアウトの前に、波をよく観察して見ましょう。
波が押し寄せているときではなく、海が穏やかになった隙にゲッティングアウトを始めるのがコツです。 次に着目したいのは、『波の間隔』です。
どうして波の間隔を見極める必要があるの?
波が5秒間隔で来る場所よりも、20秒間隔のサーフスポットの方がパドルアウトが容易にできます。その理由は、パドリングをするのが『波の間』にいる時だからです。
波に押し戻されたら早い段階でパドリングを再開する
正しい姿勢でパドリングをしているのに、パドルアウトができない理由は『進んでいる距離よりも波に押し戻されている距離が多いから』です。
簡単に説明すると?
波がくる度に3m押し戻されているサーファーがいるとします。もしもこのサーファーが、次の波がくるまでに2mしか進めなかったら永遠に沖に出られません。
当たり前のことですが、初心者にとっては気がつきにくい盲点でもあります。
初心者の頃は、サーフボードにしがみついているのがやっとのはずです。パドリングを再開する前に次の波が来てしまうので、一向に沖に出ることができません。
波を乗り越えた直後、どうしたらいいの?
大事なのは、『波を乗り越えた後』です。次の波が来る前に、素早くパドリングを再開しましょう。
パドルアウト中に波を乗り越える方法
ここまで読み進めていただいて、『波の間にいる時にパドリングする大事さ』は理解できたはずです。
ほかにゲッティングアウトのコツはないの?
その次に大事なのは、『波に押し戻されない』ようにすることです。
波に押し戻される距離を減らせれば、効率よくパドルアウトができるからです。 ここでは、『波に押し戻されないようにするテクニック』を紹介していきます。
ダックダイブ(ドルフィンスルー)
サーフボードごと水中に潜り、波を越えていくテクニックです。
浮力のないサーフボードであるほど簡単にできます。
ミッドレングス(ファンボード)でも、ダックダイブは可能です。ショートボードのように深く潜ることは難しいですが、波の衝撃を交わすことはできます。
波の衝撃を体とサーフボードの間に逃がす方法
このテクニックは、ロングボードやミッドレングスを利用している場合に特に有効です。
波が来たら頭を上げて腕を伸ばし、サーフボードと体の間に隙間を作ります。
そうすることで、波の衝撃(ホワイトウォーター)を後ろにいなすことができます。 このテクニックが特に有効なのは、ホワイトウォッシュになっている波です。
タートルロール(ローリングスルー)
サーフボードごとひっくり返り、波の衝撃を避ける方法です。
パドルアウトにおいて重要なことは、ホワイトウォッシュの衝撃をできる限り受けないようにすることです。 波がきた時に体が水中にあれば、衝撃を潜り抜けることができます。
タートルロールの詳細についてはこちらの記事がとてもわかりやすいので、参考にして見てください。
【参考になる記事】ローリングスルーのやり方やコツ、ファンボードやロングボードには必須テクニック
まとめ
パドルアウト(ゲッティングアウト)の大事なコツは、『正しい方法で諦めずにパドルし続けること』です。
みんながパドルアウトできているのに、自分1人だけ取り残されたら悔しいですよね。
その悔しさは、サーファー誰もが一度は経験することです。 それでも諦めずにパドリングを続ければ、必ず沖に出れる日が必ずやってきます。
その苦労の先で、美しい波があなたを待っています。