サーフボードには数多くの種類があり、『それぞれの板の種類に適したテイクオフのコツ』があります。
ファンボード(ミッドレングス)などの長めのサーフボードに乗っているのに、『ショートボードのテイクオフのコツ』を学んでも、なかなか理解ができないのは当然のことなのです。
簡単に説明すると?
まずは、サーフボードの形を思い浮かべてみてください。
ショートボードとファンボードでは、ノーズの形が違うのがわかるはずです(下イラスト)。
この形のちがいは、『サーフボード先端の浮力』を変える要因になります。そうすると、『テイクオフのコツ』にも違いが出てくるものなのです。
今回の記事では、初心者が選ぶことが多い、ボリュームのある板に適したテイクオフのコツ特集です。
テイクオフの基本中の基本。まずは姿勢を再確認
本題に入る前に、テイクオフの基本中の基本である、姿勢について書きたいと思います。
初心者の方の多くが、テイクオフの前段階でつまずいています。
どういうこと?
完全に間違った姿勢で、テイクオフをしようとしているのです。どんなにコツを学んでも、基本が間違っていては成功しません。
このような格好で、テイクオフをしようとしていませんか?
サーフボードのノーズが上がりすぎ・・・
このような姿勢でパドリングをしても、テイクオフは絶対に成功できないのです。
前側(ノーズ)にボリュームが多い初心者向けのサーフボードであれば、なおさらです。
多くの初心者が、知らず知らずのうちにこの姿勢になっています。中級者以上のサーファーが簡単に初心者を見分けられるのは、そんな理由からです。
まさか自分がこんな・・・
と思っている方は、ぜひ誰かに自分のサーフィンの動画を撮ってもらいましょう。
どのようにパドルすればいいの?
サーフボードと自分の重心を、しっかりと合わせるのが重要です(やり方は次の項で説明します)。
【おすすめのサーフィン・テイクオフ動画はこちら】
ファンボードとロングボードでのテイクオフのコツ
ノーズは水面ギリギリにつくぐらいにする【重心はサーフボード前方へ】
ここまで読み進めていただいて、『テイクオフの間違った姿勢』については理解していただけたと思います。
多くの初心者の方が間違った姿勢で、『ショートボード・テイクオフのコツ』を実践しているのです。それでは、上手くできるはずがありません。
どうして?
マウンテンバイクで山を登るのがゴールなのに、『F1ドライバーが実践するコーナーを攻める技術』を学んでいるようなものだからです。
ロングボードやファンボードの場合、ノーズ(サーフボード先端)は水面ギリギリにあるのが基本です。
具体的にどうやって?
まずは、こちらの動画をご覧ください。
どの部分を見たらいいの?
ノーズが水面ギリギリにある状態で、テイクオフしているのが良くわかるはずです。それと同時に、サーファーの頭の位置に注目してみてください。
状況に応じて、上体を起こしたり、顎をサーフボードにつけるぐらい近づけたりしているのがわかりますか?
どうしてそんなことをする必要があるの?
ロングボードやファンボードの場合は特に、重心をしっかりとサーフボード前方にかける必要があります(理由:ロッカーが少なくノーズ側にボリュームがあるものが多いから)。
だからこそ、頭や上半身をしっかり使って、サーフボードと自分の重心を微調整する必要があるのです。
ノーズと水面はどれくらい離すの?
ノーズは水面ギリギリで、その距離は多くても『握り拳一個分』だと考えてください。
頭の動きで重心をコントロールしよう
- 前側に重心がかかりすぎてパーリングしてしまう
※パーリング:前のめりでノーズが刺さりワイプアウトしてしまうこと
これは、多くの中級者サーファーが、ときおりやってしまうミスの一つです(自分自身もです)。
前のめりになってしまうテイクオフの失敗は、形としては『いい失敗』です。
パーリングはしたくない・・・
どうして?
その理由は単純で、パーリングするのは『重心が前にかかっている証拠』だからです。
ショートボードとは違い、ロングボードやファンボードにはたくさんの浮力がノーズ側にあります。
だからこそ、『前のめりになるぐらいの方がテイクオフの成功率が上がる』のです。
そうしないとどうなる?
後ろに重心がかかっていると、ほとんどの確率で波に追い越されてしまいます。
先程見ていただいた動画のように、パーリングする直前に頭を上げて上体をおこせば、ノーズが水中に刺さるのを避けられます。
後ろ側から波に追い越されてしまう・・・
その逆にノーズを抑えきれなかった場合は、すばやく頭を低く下げてみてください。
頭を下げてあげることで、重心が前側にわずかに移動し、サーフボードを走らせることができます。
テイクオフのテクニックの一つの『あごをサーフボードにつける』のは、そういった理由からです。
目線を高くする
ロングボードやミッドレングスは、早めの動作が基本です。
テイクオフの際は、目線を高くするようにしましょう。
サーフボードばかり見てしまう・・・
パドリング中にサーフボードを見つめるのは、テイクオフに失敗する大きな原因の1つになります。
目線を高くし進行方向へ、少なくとも3メートル以上離れた場所を見るようにしてください。
そうすることで、テイクオフ直後のワイプアウトを未然に防ぐことができます。
前足でふんふん踏みつけない
初心者の多くは、見よう見まねで上級者の真似をしようとするものです。
それ自体は悪くはないのですが、乗っているサーフボードが違うことを理解する必要があります。
例えばどんなふうに?
ときおり初心者で見かけられるのが、テイクオフした直後にファンボードなのに前足で『フンフン』しようとしてしまうものです。
この動作はロングボードやファンボードでは、ほとんど『無意味』です。
どうして?
ある程度のボリュームがあるサーフボードであれば、前足でふんふんしなくても勝手に走り出してくれるからです。
無意味に力んでしまうと、テイクオフ直後にワイプアウトしてしまう原因になります。
サーフボードの上でジタバタせず、肩の力を抜いてリラックスしてみましょう。
がに股にならないよう内股気味の自然なスタンスで
テイクオフ直後にガニ股になると、バランスを崩す原因になります。
できるかぎりリラックスし、ガニ股にならないようにしましょう。テイクオフ直後は、慣れるまでしっかりと重心を落とすのが大切です。
どうやったらそれができる?
後ろの膝をしっかりとたたみ重心を落とすことで、バランスをしっかりと取ることができます。
まとめ
テイクオフは、上級者や中級者でも失敗することがあります。そこからわかるのは、『テイクオフをマスターする』のは簡単なことではないということです。
何回も海に通いつづけることで、本当にすこしずつですが『テイクオフの成功率』は上がっていきます。
テイクオフの技術は進歩がなかなか見えないので、やめたくなる時もあるかもしれません。
それでも海に通いつづけるひとだけが、その先の景色を見ることができるのです。
そのためにできることは、たったひとつです。
やめずに、ただただ無我夢中に、海に通いつづけるのです。