今回の記事は、『波のパワーゾーン』について解説していきます。
以下のような問題を抱えている方は、波のパワーゾーンをうまく利用できていない可能性があります。
- つい横に走りすぎて最後には失速してしまう
- トップターンがうまくできない
- 波に置いていかれる
- そもそも全然上達しない
- ターンしようとしたら転んでしまう
この問題全てに共通するのは、『レールを入れられる状況を作り出していないこと』です。レールを入れられる状況にないということは、どんな動作にもつなげられないということになります。
それがパワーゾーンと関係あるの?
パワーゾーンを意識すると、『レールを入れられる状態(サーフボードを傾けられる)』が自然と作れるようになります。
横に走っている時も、技をしようとしているときも、常に『パワーゾーンを意識』する必要があるのがサーフィンなのです。
どうして?
パワーゾーンを意識しないと、以下のような問題が発生してしまうからです。
- スピードがつかずに失速してしまう
- 波から得られる推進力がなくなってしまう
このような状態になると、レールを入れることはほぼ不可能です。無理やりサーフボードを傾けても、間違いなく転んでしまうことでしょう。
カットバックで転ぶのも、同じ原因からです。
このように、『パワーゾーン』と『レールを入れる動作』は、密接な関係にあるのです。
そもそもレールを入れられる状態ってどういうこと?
サーフィンの技、それに関わる全ての動作には、『レールが入っている状態(サーフボードを傾けている状態)』が存在しています。
だからこそ、『レールを入れられる状況』を作り出すのがとにかく重要なのです。
何か技をしようとして失敗するのは、『レールを入れられる状況』を作り出せていないからです。
パワーゾーンをよく理解しているサーファーは、『レールを使ったサーフィン』をすることができます。
次項から詳しく説明していきます。
パワーゾーンとは【全ての技につながる基本】
パワーゾーンとは、波の中でもっとも力があるところです。波のポケットとも、呼ばれています。
波に力があるということは、『推進力を得られる』ということになります。
どうして推進力を得られるの?
パワーゾーンとサーフボードの位置関係は『スピードと推進力(前に進む力)』に直結しているからです。
推進力があると、レールを入れることができるようになります。
わかりやすく説明して?
自転車で例えると、パワーゾーンは『下り坂』です。
坂道を下り、スピードがついている自転車に乗っているところを、イメージしてみてください。
この状態であれば、ハンドルを切らなくても自転車を少し傾けるだけで、曲がっていけます。
これがサーフィンで言う、『レールが入っている状態』です。
レールが入れられない状況は?
今度は、停止している自転車にまたがっているのを想像してみてください。
この状態で同じように体を傾けると、そのまま転んでしまうはずです。その理由は簡単で、自転車が『推進力がゼロの状態』だからです。
サーフィンでも同じように、推進力がなければ、レールを入れても転ぶだけです。
ここでいう坂道こそが、『サーフィンのパワーゾーン(ポケット)』になります。
推進力を得ることができるのが、『パワーゾーン』なのです。
波のパワーゾーンを利用しないで何かをしようとするのは、自転車が止まっている状態で体を傾けているのと、とてもよく似ています。
だからこそ、サーフィンで一番大事なのは、パワーゾーンを意識することなのです。
パワーゾーンを見つける方法【推進力を得る】
最初に試して欲しいのが、『何もしないで待つ』ということです。進行方向が決まったら、横に走ろうとせずにそのまま待ってみてください(バレルを狙う感覚と似ています)。
アップスンもしないでください。
特に、横に走りすぎるサーファーに試して欲しいことです(自分自身もそうです)。
待つとどうなるの?
そうすると、自然とボードの推進力が上がる瞬間があります。その場所こそが、波のパワーゾーンです。
そのままにしておくと、波に置いていかれることがあります。
どうして波に置いていかれる?
波に置いていかれる理由は、『波のパワーゾーンが自分の前方に移動』したからです。
テイクオフをした時に後ろにあったパワーゾーンは、常に移動しています(波が割れていくのと同時に)。
パワーゾーンの場所が、イメージできたのではないでしょうか?
パワーゾーンにリズムを合わせてみよう
次に、『パワーゾーンのリズム』と、サーフボード(自分のポジション)を合わせていきます。
- 置いていかれそうになったら、アップスンで少しだけ前に出る
- パワーゾーンから離れたら、カットバック・トリミングで戻る(あるいは待つ)
当然、走り過ぎてしまうとパワーゾーンから離れてしまいます。
だからカットバックの練習をしてるんだけど・・・
離れすぎた状態でカットバックをしようとしても、推進力が足りずにそのまま転びます。パワーゾーンを忘れて横に走ることに必死になっていると、『手遅れ』の状態になってしまうからです。
とにかく大事なのは、『波のパワーゾーンに先を越されず、自分も前に出過ぎないこと』です。
結局何が言いたいの?
サーフィンは、波とするダンスです。それは決してソロダンスではなく、『波のパワーゾーン』という相方がいて、初めて成り立つものなのです。
自分勝手に何か技を繰り出そうとしても、『パワーゾーンの存在』がなければ何もできません。
パワーゾーンにポジションをキープし続ける方法【サーフィンで一番大切な技・技術とは】
- 技という発想は、一度隅っこに置いておく
- 波に乗ったら、パワーゾーンを意識する(探す)
- 波を待つ
- 極端にレールを入れずポジションをキープする
- 遅れたら追いつく(アップスンで)
- 結果的に『波のポケットに戻る技術』が習得できる
サーフィンの技について考える前に、一番重要な基本技術が一つあります。
それは、『波のパワーゾーン(一番力がある場所)に自分のポジションをキープする技術』です。
例えばどんな技?
波のパワーゾーンに戻る動きである、カットバックもそのひとつです。
大きな円を描いてUターンするのは、パワーゾーンに戻るためです。パワーゾーンという存在があるから、カットバックをする必要があるのです。
これを忘れてはいけません。
もしも、波が勝手にサーファーにタイミングを合わせて進んでくれるのだとしたら、カットバックなど存在してないはずなのです。
カットバックをする理由を一切考えずに、『技』として捉えてしまうと、いろいろな弊害が出てきます。
フローターもそうです。フローターという技があるからするのではなくて、目の前にフローターをしなきゃいけない波があるからしているだけなはずです。
目の前にある状況に反応しているだけ?
車の運転をしていて、目の前にカーブがあるから、ハンドルを切る。
これは、サーフィンにも必要な考え方です。
もしもドライバーが、『ハンドルを切る技』と考えていたらどうなるでしょうか?コーナーという概念を知らずに、ハンドルを切る技を習得しようとしていたとしたら。
その人は、直線の坂道でひたすらハンドルを回す練習をしています。それがおかしなことだということは、簡単に想像できると思います。
サーフィンでも同じです。
パワーゾーンを知らないのに、技をしようとしていたら。
あなたが今、サーフィンの技をうまく習得できないのは、きっとそんなふうに考えているからなのです。
どんなことにも、順序があります。
コーナーがあるから、ハンドルを切る。
パワーゾーンがあるから、カットバックをする。
その『原理原則と順序』を、忘れないようにしましょう。
まとめ
パワーゾーンを中心にして自分のサーフィンを考えることができれば、みるみるサーフィンが上達します。
サイズの小さい波であるほど、パワーゾーンが小さくなる傾向にあるので、サイズのあるいい波で試してみましょう。
ただ波に合わせること。
波を待つ余裕を持つ。
そうすればきっと、今まで越えられなかった上達の壁を、乗り越えることができるはずです。