ワイプアウトは、サーフィンをしている以上は避けることができません。
波に飲まれた時の心構えと対処法を知らないのであれば、サーフィンをするべきではありません。その理由は、正しい対処法を知らないと、命を落としてしまう危険もあるからです。
それでは実際にワイプアウトした時に、どのように対応したらよいのでしょうか。
ワイプアウトした時に一番大事なことは?
波に飲まれてパニックになるのは、非常に危険です。
結論を先に言うと、ワイプアウトしたときに一番大切なのは、『冷静さを保ち、リラックスすること』です。
リラックスして体の力を抜くことで息が長く続き、状況に対して落ち着いて対応することができるからです。
詳しい対処法は、記事で1つずつ説明していきます。
今回の記事は、『ワイプアウトのやり方と水中での対処法』についてです。正しい方法を学び、安全にサーフィンを楽しみましょう。
海に入る前にするべきこと【ワイプアウトした状態を想定する】
息を止められる時間を認識する
海に入る前に最初にするべきことは、『自分がどれだけ息を止めていられるか』を知っておくことです。
普段の生活の中で、息を止めて見ましょう。
陸上で練習するのに意味があるの?
陸上と海では全く環境が違いますが、『息を止めていられる時間を知ること』がワイプアウトした時に冷静さを保つ、大きな利点になります。
ある程度、『息を止められる時間の感覚』が掴めるようになったら、プールでトレーニングすることができます。
大きく息を吸ってから潜るのではなく、呼吸の途中でランダムに潜るように意識して見てください。ワイプアウトは、不意にやってくるものです。
突然息を止めなければならない状況をイメージしながらトレーニングして見ましょう。
【参考になる記事はこちら】息を長く止める3つの方法
息を長く止めるコツ
- リラックスする
- 体をむやみに動かさない
- 焦らない
【参考元記事】How to improve your breath hold for surfing
注意点
- 息を止めるトレーニングを水中でする場合は、必ず複数で行ってください。
- プールのトレーニングは危険が伴います。必ず複数人で行い、監視がある元で実践してください。
- 公共のプールでトレーニングする場合は、必ずライフガードに説明し、許可を得てから行うようにしましょう。
水中にいる状態での対処法と心構え
パニックにならない
水中に投げ出された際に最も重要なのが、『パニックにならず冷静さを保つ』ことです。
恐怖でパニックになると、息を止めていられる時間が一気に短くなってしまいます。
どうして焦ると息が続かないの?
呼吸をすることに焦ってしまうと、体をむやみに動かしてしまい、一気に酸素を消費してしまうからです。
体の力を抜く
水中に投げ出された時に重要なのは、『体の力を抜き、リラックスすること』です。ぐるぐると水中で回されているときは、まず力を抜き、体を丸めましょう。
体の力を抜いたらどうなるの?
体の力を抜くだけで、自然と体が浮かび上がってきます。リラックスできれば、無駄な酸素の消費が減り長く息を止められるようになります。
目は軽く閉じる
波に巻かれたときに、力一杯目をつぶってしまうと無駄な力が入ってしまいます。
目は軽く閉じ、力を抜くように心がけてください。
目を開けてもいいの?
体の回転が止まったときに、水中で目を開けてみましょう。
波のサイズが大きくなると、目を開けても泡だらけで何も見えませんが、それは体が水面から近いサインでもあります。冷静に状況を判断するために、五感の情報をフル活用しましょう。
リーシュをたどる【自分とサーフボードの位置関係を把握する】
波のサイズが大きくなると、なかなか水面に浮かび上がれないことがあります。
そのような状況で、むやみに手足を使って水面に上がろうとすると、酸素を急激に使ってしまいます。
どうやってその状況から脱出できる?
浮かび上がらない状況になったときは、リーシュを使って自分がどこにいるかを確認しましょう。
やり方は簡単です。
水中にいる状態で、足先を使ってリーシュを引っ張って見ましょう。そうすると、ボードと自分の位置関係を把握できます。
位置関係を把握する理由は、ワイプアウトしたときに最初に浮かび上がるのがサーフボードだからです。サーフボードのリーシュを辿れば、必ず水面に出られます。
このときに、リーシュが足に絡まらないように気をつけてください。
サイズが大きくなればなるほど、長い時間水中でかき回されます。水中の流れがゆるやかになったとき、すぐに実行するようにしましょう。
水中で息を吐く【肺の空気を抜く】
水中から水面に上がれず限界を感じたら、息をゆっくりと吐いて見てください。
息を吐いたらもっと苦しくなるんじゃないの?
人間が息を止めている時に、苦しい理由は2つです。
1つは、空気を吸いたい状態。2つ目は、空気を吐きたい状態です。空気を吐くことで、呼吸までの余裕が少しだけできます。
ワイプアウト後に水面に上がる際の注意点
目を開けた状態で水面に顔を出す
水中から水面へ上がる時は、危険が伴います。
危険な理由は、他のサーファーや次の波がすぐそこまで来ているかもしれないからです。
ワイプアウト後は目を開けた状態で水面に上がり、水面の状況をすぐに判断する必要があります。不測の事態が発生してもすぐに対応できるように、目を開けて準備をしておきましょう。
頭をしっかりと守った状態で水面へ上がる
水面に上がる時は、頭をしっかりと守る必要があります。
どうして頭を守る必要があるの?
理由は、ほかのサーファーとの衝突を防ぐためです。混雑している場合は、特に他のサーファーに注意してください。
水面に上がったところに、他のサーファーのサーフボードが顔面に衝突し、死亡した事例もあります。
ワイプアウト後は、顔を腕全体で守りながら水面に上がるようにしましょう(やり方は下の動画を参照してください)。
まとめ
自然を甘くみると、人間は大きなしっぺ返しを食らいます。自然の力は強く、人間に鋭い牙を突き立てることもあるでしょう。
大事なのは、どんな時も油断せず、自然に対して敬意を払うことです。
波が怖いと感じるのは、正常な感覚です。自然に対して恐怖心があることは、当然のことだからです。
サイズが大きくなればなるほど、波は力強くなり、時として人の命を奪うこともあります。もちろん波のサイズが小さくても、侮れません。
ワイプアウトした時に感じる、『波の力強さ』は皆さんもご存知なはずです。
ワイプアウトに対して冷静に対応することができれば、少しだけ『大きいサイズの波』にも挑戦することができるようになるはずです。
決して無謀な挑戦はせずに、少しずつステップアップしていきましょう。