サーフボードの重さは、一体どのようにライディングに影響を及ぼすのでしょうか。
極端な話をすれば、1グラムの重さのサーフボードに乗ったらどうなるでしょうか。まったく同じ形状の、3キロ(3000グラム)のサーフボードとの違いはなんでしょうか。
今回の記事は『サーフボードの重さ』についてです。
極端な仮説をたて、『サーフボードと重さの関係』について検証していきます。
仮説は以下の通りです。
対象となるサーファーの体重は60キロとして、二枚の同じ形状のサーフボードを用意します。
1枚目は重さが1グラムのサーフボード。2枚目は、重さが3000グラムのサーフボードです。
どちらか優れているサーフボードなのでしょうか。
備考)レジンの厚さや、重さ調整のためのファイバーグラスの重ね方で、サーフボードの性質に変化があります。今回はそういったことは抜きにした考察をします。
検証をわかりやすくするために、サーフボード自体の浮力は完全に同量とします。
サーフボードが軽いと浮力が高くなる
まず着目したいのは総重量の変化です。
下図のように、サーフボードの重さとサーファーの体重の合計に違いが現れます。
サーフボードが軽いと得られる利点の多くは、『浮力が上がる』ことに起因しています。
同じ容量のサーフボードでも、軽い素材を使用すればその分浮力が上がるのです。
サーフボードが軽いと得られる利点
要約すると、軽いサーフボードを使用することで得られる利点は、以下の通りになります。
- テイクオフが早くなる
- サーフボードの走り出しが早くなる
これらの利点は、エポキシのサーフボードの特徴としてあげることができます。軽いサーフボードは、小さいサイズの波に適しているとも考えられます。
エポキシ素材のブランクスは非常に軽量であるため、『素材自体の重さによる浮力の軽減』を防ぐことができます。
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サーフボードは軽ければいいわけではない
それでは、サーフボードは軽ければ軽いほどいいのでしょうか?
サーフボードの重さは好みが大きく分かれるところですが、僕はサーフボードにある程度の重さがあったほうが、サーフィンがしやすいです。
エポキシの超軽量サーフボードに乗ったことがありますが、どうも好きになれませんでした。僕の知り合いに聞いても、サーフボードが軽すぎると調子が出ないと言う人が多いです。
どうしてでしょうか。
ボリューム(サーフボードの浮力)が十分にあるのであれば、サーフボードはある程度重さがあったほうが安定しているように感じるのです。
特に波のサイズが大きくなると、軽すぎるサーフボードは乗りにくく感じます。
『サーフボードの重さ』が与えるライディングへの影響
サーフボードに重さがあると、ライディングに安定感が出ます。ビッグウェイブ用のサーフボードが重めに作られていることも、納得ができます。
テイクオフの際も、ボトムに降りていくスピードが早いです。強いオフショアの風を受けたとしても、あおられることなくボトムに降りていくことが可能です。
波のサイズが大きければ、サーフボードが重くてもテイクオフが楽に感じられるはずです。
また、サーフボードの自重でボトムに向かっていってくれるので、スピードもつきやすくなります。
『サーフボードが重いと得られる利点』を図で説明すると、以下のようになります。
サーフボードが重いと得られるメリットとは
- 安定感がある
- ボトムに降りていくスピードが早い
- テイクオフが容易になる(波のサイズが大きい場合に限り)
- スピードがでる
まとめ
僕の体重は65キロ、163センチのずんぐりした日本人型の体型です。
僕の体重や身長に合わせたサーフボードを、超軽量素材で作ると『軽すぎるサーフボード』になってしまいます。
超軽量素材でも、サイズが大きくなればそれに比例してサーフボードが重くなっていきます。身長が高い人に合わせたサーフボードを作ると、エポキシのサーフボードでもそれなりの重さがあります。
同じシェイプでも、サーフボードの大きさが変われば、重さに違いが出てくるのです。
同じブランドで、同じ形状のサーフボードでも、大きさが変わり重さに変化があると、乗り味の感想は変わります。
プロサーファーのように、状況に応じて軽いサーフボードを扱うことができるのであれば問題はないでしょう。安定したライディングが可能なプロレベルのサーファーは、軽いほうが扱いやすい場合も多くあると思います。
しかし、僕のように一般レベルのサーファーであれば、重いほうが扱いやすく感じるはずです(波のサイズが大きければ)。
それぞれの身長や体重に適した『サーフボードの重さ』を探すことが、サーフィン上達の近道なのかもしれません。