今回の記事では、体重とサーフボードの関係性について解説していきます。
サーフボードの選び方で一般的なのが、『体重から適正浮力を見出す』というものです。
体重から算出した適正浮力のボードなので自分に合っている
とても理にかなっているように思える意見ですが、根本的に間違えていると断言できます。
体重と浮力はサーフボード選びの一つの目安でしかない
サーフボードを選ぶときは体重と浮力だけではなく、下のリストの内容も考慮しなければいけません。
- 体重
- 身長
- 股下の長さ
- 筋力
- 乗りたい波の性質
- 自分が目指すサーフィンの形
体重だけでもあっているサーフボードを見つけられるはず・・・
下の下手くそなイラストを見て、考えてみてください。
- 65kg 155cm ぽっちゃり体型
- 65kg 180cm 痩せ型
- 65kg 165cm ムキムキ体脂肪率2%
体重だけみたら一緒の3人に、全く同じサーフボードが適していると言えるのでしょうか?
たとえ全員が同じ運動能力だったとしても、体重だけで選んだサーフボードが全員に適しているとは到底考えられないのです。
どうして体重だけで決められない?
その理由は単純で、同じ体重のサーファーでも、身長も筋力もそれぞれ違うからです。
そもそも適正浮力というのは、『サーファーの持っている性質』をしっかり考えないと、意味がありません。
わかりやすく説明して?
簡単な例を挙げると、ボクシングです。
ボクサー全員が、体重を元にした階級別で闘います。ほとんど同じ体重の選手たちは、それぞれが違う闘い方をします。
それは何故でしょうか?
理由は簡単で、それぞれの身長(腕のリーチ)も違うし、選手一人一人の持っている性質を伸ばすための闘い方を常に探しているからです。
サーファーが、『体重と浮力だけでサーフボードを決定』してしまうのは、ボクサー全員に同じ闘い方を強制しているようなものなのです。
それって、おかしなことだと思いませんか?
体重と浮力だけでサーフボードを選ばない方がいい理由
- 体重が同じでも身長が違うから
- 体重が同じでも筋肉量が違うから
- 体重が同じでもそれぞれのサーファーの特徴が違うから
次の項から詳しく説明していきます。
体重が同じでも身長が全員違う
以前の記事でも書いたように、体重が同じでも身長が違えば股下の長さが大きく変わります。
それは、サーフボードの足の置く位置(ニュートラルポジション)に大きな関わりがあることです(詳しくはこちらの記事で)。
具体的にどう変わる?
足の置く位置が変われば、同じサーフボードでも反応が全く違います。
サーフボードを選ぶ時、1インチ(2.5cm)の長さの違いで悩んだ経験は誰しもが持っているはずです。
その反面、『身長が1インチ違うこと』をしっかりと考える人が少ないのは何故でしょうか?
体重が同じでも体格が違う
サーファーの体重が同じでも、それぞれ体格が違います。
手のひらの大きさや腕の長さが違えば、パドル速度にも違いが出ます。頭の重さが違えば、テイクオフの感覚も変わってくるのです。
他に何かある?
波に乗ってからも、同様です。
脚力が違えば、サーフボードのあるべき形も違います。
どういうこと?
足が短い人は、サーフボード前方に体重をかけたいとき、前に出るなどの工夫をする必要が出てきます(ニュートラルポジションの前後を調整する)。
その反面、足が長い人はニュートラルポジションに幅があります。
足の位置を調整しなくても上半身の荷重だけで、サーフボードをコントロールすることができるのです。
プロなら対応できるはず・・・
もちろん、サーファーが器用であれば、どんなサーフボードにも対応した乗り方ができます。
でもそれは、どんな板にも適応した乗り方ができる人の話です。
自分を含めて、ほとんどの一般サーファーの方はそれができないからこそ、悩んでいるはずです。
じゃあどうしたらいいの?
体重と浮力でサーフボードを決定する前に、自分の体格や筋力を分析してみてください。
その際は必ず、『浮力の定義』をすみっこの方に置いておく必要があります。そうすることで、自分と相性がいいサーフボードが必ず見えてきます。
体重が同じでもサーファーの特徴と性質が違う
サーファーは、『十人十色』です。
YouTubeを眺めていても、サーファーそれぞれが全然違う乗り方をしています。
体重と浮力だけでサーフボードを選ぶとどうなる?
浮力だけで選んだサーフボードがたまたま合っていることも考えられますが、運が悪ければ相性がとんでもなく悪いことだってあり得ます。
周りのサーファー仲間が調子が悪いと嘆いている板を借りてみるのも、一つの方法です。
他の人にあってないのなら自分にも合わないんじゃ?
誰かにとっては不良品でも、乗る人が変わればマジックボードにだってなり得ます。
そのぐらい、サーフボードというものは奥が深い乗り物なのです。
体重と浮力で板を選ぶ前に自分がしたいサーフィンの形を見つける
とにかく大事なのは、『自分がどんなサーファーなのか(どんなサーフィンがしたいのか)』をよく考えることです。
適性浮力は、ただの目安です。サーフボード選びの答えではありません。
それを忘れずに、まずは自分を分析することから始めてみましょう。